郷土人物百年詩−安達謙蔵−
@志士の血燃ゆる若きより
馳駆(ちく)す政界五十年
続く試練の風雪に
刻む額の深き皺(しわ)
A名利(みょうり)のなかに身はおけど
孤節(こせつ)を持して聖賢(せいけん)の
厳しき道を仰ぎゆく
悲願の行者(ぎょうじゃ)安達翁(おう)
B故山(こざん)に臥(が)して幾年(いくとせ)か
戦後の国を憂(うれ)えつつ
瞼を閉じし漢城(かんじょう)の
像にしぐるる蝉(せみ)の声
※熊本市生まれ(一八六四)。済々黌(せいせいこう)出身。京城(現ソウル)で漢城新報を経営、九六年閔妃(みんぴ)事件に連座して投獄されしも無罪。
※一九二○年代議士となり以後連続14回当選。逓相(ていしょう)、内相などに歴任、国民同盟を組織、一方社会教化のため八聖殿(横浜)、三賢堂(熊本)を建立。
※四〇年政界引退、島崎の三賢堂に隠栖(いんせい)、四八年歿85才。