新民謡風土記−天草−

@五橋渡れば島から島へ

 慾(よく)と車の渦が巻く

 変わる天草変わらぬものは

 道に咲きつぐ石蕗(つわ)ばかり

A四郎悲しや夕焼け空を

 指してクルスの立ち姿

 流す血潮か娘の恋か

 燃えて炎の蔓珠沙華(まんじゅしゃげ)

B男命を小舟にのせて

 今日も乗り切る土用波(どようなみ)

 せめて一夜を大漁祝い

 踊り明かそよハイヤぶし

 

※四郎は天草四郎時貞(あまくさしろうときさだ)、年16天草の乱に首領となった。大矢野(おおやの)島に銅像がある。

 

山口白陽の詩に戻る

山口白陽文学館受付に戻る