古城風物誌−備前堀−

@明治壬寅(じんこう)秋更(ふ)けて

 練武のあとをみそなわす

 聖駕(せいが)迎えし歓(よろ)びを

 伝えてその名行幸坂(みゆきざか)

A右手に深き備前堀

 青き水藻に影ひたす

 古城の壁は高くして

 老樹の梢(こずえ)雲を呼ぶ

B梟雄(きゅうゆう)佐々成政(ささなりまさ)が

 悲劇のあとを彩れる

 土手の落葉よ荒草よ

 思いは遠し四百年

 

※行幸坂は明治35年11月の特別大演習に明治天皇の行幸を迎えて出来た

※備前堀は清正の前城主佐々成政の一族佐々備前守の邸跡と伝える

※佐々成政は着封後の治績あがらず移封されて後死を賜うた

 

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