古城風物誌−地図石−

@ここにひとつの謎ありて

 古城の隅に ひっそりと

 人待つごとく 黙したり

 世に 地図石といい伝う

Aされど老樹の木もれ陽に

 蒼(あお)く冷たく 苔むせる

 迷路のごとき 石組みを

 解き明かしたる 人はなく

B或(ある)は 城の地図といい

 或は 道の飾りとも

 人それぞれに 謳(うた)えども

 石は語らず 四百年

 

※地図石は数寄屋(すきや)丸に出入りする風流な門口の敷石などではなかったか。(熊本市史)

 

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