思い出十二か月−どんこ釣り 七月−
どんこ(熊本方言でどんかっちょ)
どんこ釣り
田圃(たんぼ)に青い風が吹き
土手に野茨(のばら)が咲きつづく
村の小道をみんなして
釣に急いだあのころの
顔顔顔が眼にすがる
“三本杉”の下かげに
腰をおろせば身をつつむ
甘い香りのすいかずら
糸をおろした小川には
雲がちらちらゆれていた
釣りおとされたどんかっちょ
つつけば又もふり向いて
パクリと餌にかぶりつく
あわてて上げた釣竿に
獲物がおどる草の中
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