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山口白陽の俳句2005.4.19更新

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つくばひの石蕗(つわ)に残れる寸土かな

流木の山に立ちたり雲の峰

ふきのとう鉄路の石のあはひより

夕風の梢に見えて大欅

熱球の落つるしばしや雲の峯

子羊や若葉に就きある夕べ

雑踏のわれも一人や春の市

鉄骨にうごめく人や雲の峯

砂壁の風鈴疵(きず)や海涼し

弥宜(ねぎ)どのは村の有志や夏祭

夏草や空かぎる野の人遠し

幽峡や紅葉しぶく滝懸けて

遍照の谿間(たにま)明るし柿の村

草紅葉小川の水のなめらかに

コスモスや薪(まき)小屋埋むばかりなる

葬列の貧しく花野横切れり

本堂は閉ざせり若葉埋む寺

かなかなかあらぬか耳にふととめし

大仰に音して芭蕉風となる

あえかなる恋はなき世よ桐の花

 

萍(うきくさ)の掬(すく)へば紅き葉うらかな

薫風に少し凹(くぼ)みてアドバルン

銀杏落ち葉一樹一樹の黄なる円

時雨るるや都心の夜空灯に霧らふ

どこでやらいつやら見たる春の雲

たわたわと黒揚葉(くろあげは)とび夏暮るる

薫風や釣糸の弧に吹かれおり

ものうげにライオン欠伸(あくび)花散らふ

菜の花の花粉を惜む雨しとど

葬苑は谷の日だまり梅の花

夕風の梢に見えて楢(なら)若葉

熱球の落つるしばしや雲の峰

この露地に藪椿(やぶつばき)あり露地に入る

驟雨(しゅうう)去って郭公(かっこう)の野となりにけり

家は皆山つき日向菊の花

城壁の石の狭間の落葉かな

半円の月凍てし夜の煙突に

谷谷に寒灯の家五六軒

人愛しかかる山道韮(にら)の花

思ひ皆衆恩に帰す初硯(すずり)

ゆかりなき人美しき桜かな

花仰ぐ眸(ひとみ)に飛行機を捉えたり

たじろがぬ幼な児の瞳や若葉かげ

籠居して春の句作や石蕗(つわ)の家

黄落の一天染むる大榎(えのき)

昼顔や触れでやみたる稚児のゆび

木犀(もくせい)の香の移ろひや日日の道

枯芝に連翹(れんぎょう)いよよ黄なるかな

菜の花や畑はなれて二三株

櫨(はぜ)紅葉一本植えて堤長し

醜(しこ)の世に愛(かな)しき庭や月見草

人かなしかかる山路の韮畠(にらばたけ)

恍として背を干す老の日向ぼこ

雲の峰われ痩脛(やせずね)に対ひ立つ

花びらのどれもおもたし秋の雨

諸葛菜あえかに濡らし雨晴るる

日本の夏来りたる新茶かな

桜咲くや書庫に乏しき陽を惜む

美女老いて春服選ぶ哀しけれ

銀杏落葉掃かである道通りけり

 

残照に曳(ひ)く影長し苗木植ゆ

思ひ出の突き止め難し春の星

崖の梅谿(たに)の梅バスの行くところ

ことごとく鴉(からす)とまれり冬木立

布団よく乾く縁先見て過ぐる

わが植えし南瓜(かぼちゃ)の蔭の夕餉(ゆうげ)かな

二タ坪の畑に拘(こだ)はり秋闌(たけ)ぬ

時雨(しぐれ)来しらしきを云ひて襖(ふすま)越し

廃屋はわが家あら草秋の月

のりごはき浴衣の肩の怒りかな

塵箱(ごみばこ)のごみ食(は)み出たり冬の雨

青野ただ雨にけぶれり放し馬

陽に透けし楓(かえで)、楢(なら)、樫(かし)若葉寺

曲折の道白くして若葉谿(たに)

柿若葉孕(みご)もれる娘(こ)の朝化粧

青野ただ雨しぶきをり放し馬

雪山に消えゆく一羽眼に止めし

ぬれて行く人を見てをり春の雨

春の雨又寄り返り立ち話

百日紅(さるすべり)童女はほともあらはにて

 

孫の肌柔し青葉の湯に入るる

悔い多き世をうべないて雑煮食ふ

新涼の土のしめりや足の裏

花仰ぐ眸(ひとみ)に飛行機を捉えたり

春愁のそのまま暮れてしまひけり

バスの灯の雨をよぎるや五月闇

夕風の梢に見えて楢(なら)若葉

時雨(しぐれ)人待ちて発車や山の駅

木犀(もくせい)や日ねもす縁に老い呆(ほ)くる

よろめいて翁掛けたり菊の縁

しみらなる墓地の日ざしや蔓珠沙華(まんじゅしゃげ)

美(よ)き女(ひと)の老いの哀れや彼岸花

大欠伸(おおあくび)うつして去れり春のバス

コスモスをむしりながらの長話

 

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