古城風物誌−慶宅坂−

@新涼(しんりょう)動く古城(ふるしろ)に

 漫歩の足を運ぶとき

 残暑を惜しむ若人の

 声はプールに湧きあがる

A朝鮮役に藤公(とうこう)が

 伴えりとう韓人(からびと)の

 邸趾(ていし)やいずこ荒草の

 慶宅坂(けいたくざか)は人もなく

B熊笹(くまざさ)しげる道の端(はた)

 昔をかたる老木々(おいきぎ)の

 梢(こずえ)にとよむ蝉(せみ)しぐれ

 過ぎてしばしの夕静寂(ゆうしじま)

 

※行幸坂を上る途中古城の方へ左折し、県営プール(管理人注:現在は廃止されてない)見下ろしつつ進むと、国立病院裏へ上るだらだら坂がある。朝鮮役に清正がつれ帰った高麗人李慶宅の邸をこの附近に与えたところから慶宅坂の名があると伝えられる。

 

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