新民謡風土記−球磨−

@いでゆ人吉六百年の

 夢をいだいた城下町

 青井様から繊月城(せんげつじょう)へ

 霧の中とぶ川千鳥(かわちどり)

A棹(さお)におぼえの球磨川(くまがわ)下り

 四十八瀬を逆(さか)おとし

 谷の狭間(はざま)で仰いだ空に

 くるか夕立(ゆだち)の雲がわく

Bなくは娘か小山のせみか

 かなし五木(いつき)の子守唄

 せめて上げましょ市房(いちふさ)つつじ

 つばき代わりの墓花に

 

※繊月城は人吉城の異名。

※五木の子守唄に「蝉じゃござらぬ妹でござる 妹なくなよ気にかかる」

※同じく「花は何の花つんつん椿 水は天からもらい水」

 

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