古城風物誌−西櫓門−

@黒く厳(いか)しく 逞(たくま)しき

 この城門を仰ぐ時

 瞼(まぶた)に 逐(お)うは 武士(つわもの)の

 具足(ぐそく)ゆゆしき 立ち姿

A明治十年 春浅き

 かの西南の戦いに

 薩摩隼人(はやと)の遺したる

 弾痕(たまあと) 著(しる)し門ばしら

B大手搦手(からめて) 数々の

 門は名のみの中にして

 不開(あかず)の門と並び立つ

 西櫓(やぐら)門 亡びざれ

 

※行幸坂を上りつくす前、備前堀に添うて右折すると、杉並木の道の尽きるあたりにこの西櫓門がある。

 飯田丸に通ずる西方の関門で、現在櫓だけは取り除かれているが築城当時を偲(しの)ばせるに足る古建築の一つ。

 

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