郷土史歌ごよみ−西南役−

弾痕の残る民家

 

@屍(かばね)の上に築きたる

 復古維新の大業は

 なおいけにえを求めてか

 神風連(しんぷうれん)の夜あらしに

 無辜(むこ)の命を奪いゆく

A翌()くれば明治十年の

 春だきより荒れ狂う

 西南役の攻防に

 城も民家も焼け失せて

 燕(つばめ)のかえる宿もなし

B植木(うえき)、段山(だにやま)、吉次越(きちじごえ)

 雨ふりしきる田原坂(たばるざか)

 血をもて描く骨肉(こつにく)

 惨酷図絵(さんこくずえ)ひろぐれ

 いくさは虚(むな)しいつの世も

 

 

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