新民謡風土記−下益城−

@弦(つる)を鳴らせば 翼もにぶる

 弓の八郎が 男ぶり

 語り伝えた 雁回山(がんかいさん)も

 今は不動の木原山(きはらやま)

Aこうと決めたら梃(てこ)でも退(ひ)かぬ

 益城(ましき)生れの 生一本(きいっぽん)

 僧の鉄眼(てつげん) 詩人の逸枝(いつえ)

 すぎた苦闘の幾山河(いくさんが)

B豊野(とよの)、豊福(とよふく)、豊川(とよかわ)かけて

 名さえ豊かな 米どころ

 左利きなら 隈庄(わいしょう)あたり

 ただは通れぬ酒の郷

 

※鎮西八郎為朝(ちんぜいはちろうためとも)がここに住み強弓(ごうきゅう)で飛雁(ひがん)を射たので雁も避けたとの伝承がある。

※鉄眼は小野辺(おのべ)の産で一切経(いっさいきょう)を翻刻(ほんこく)し、高群逸枝(たかむれいつえ)は松橋町(まつばせまち)に生れて日本女性史を完成した。

 

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