思い出十二か月−すとと捕り 2月−

すとと(ホオジロ)

 

すとと捕り

 

二月の朝のたのしみは

落穂畑のすとと(頬白)捕り

きのう仕掛けたバッタリ()

見にゆくときの胸さわぎ

 

あたりの雪を蹴ちらして

バタバタさわぐ罠の鳥

やんわり包むてのひらに

胸毛のぬくさやわらかさ

 

 

かるたとり

 

二月の夜のたのしみは

旧正月のかるたとり

あかあかてらす灯の下に

笑いがはじけ札がとぶ

 

やがて姥(おうな)がかかえ出す

蜜柑の山やお汁粉に

またわき返るざわめきの

夜はかなやかにふけてゆく

 

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