新民謡風土記−宇土−

@闇の八朔(はっさく)不知火(しらぬい)だけは

 神代(かみよ)ながらの灯をとぼす

 去年あの夜にえいのお様で

 逢うたあの娘(こ)はどこじゃやら

A昔仰いだ舞鶴城(まいづるじょう)も

 今は荒畑(あらはた)寒(かん)がらす

 誰が移したお天守様か

 三角(みすみ)向うの宇土櫓(うとやぐら)

B東港(ひがしみなと)は入船出船

 西は五橋(ごきょう)の出入口

 蜜柑(みかん)召しませパールはいかが

 三角みすみす通しゃせぬ

 

※不知火は八朔(旧八月一日)を中心に出るという。

※小西行長(こにしゆきなが)の旧城は現宇土高校のあるあたりで舞鶴城といわれ、当時の天守閣が熊本城の宇土櫓と伝えられる。

※三角みかんと天草真珠は土産ものの双璧(そうへき)?「三角みすみす通らりょか」は旧作三角小唄のリフレイン。

 

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