古城風物誌−宇土櫓−
@四百年の興亡を
現(うつつ)に見つつ永らえて
蒼古(そうこ)の甍(いらか)雲に入る
古城の要(かなめ)宇土櫓(うとやぐら)
A行長(ゆきなが)の手に撫(ぶ)せられし
かの欄(おばしま)も、清正(きよまさ)の
毛深き足に踏まれたる
この床板もそのままに
B江戸泰平の夢さめて
維新の暴風(あらし)すさびたる
血潮かあらぬ城壁に
夕映え赤し宇土櫓
※宇土櫓は清正のライバル小西行長が宇土に建てたものを移したと伝えられ、当時の像をそのままに残す意味では熊本城随一の記念物である。