郷土人物百年詩−矢島楫子−

@海の不知火(しらぬい) 山の阿蘇

 女ごころも 火の国の

 猛婦といえば先ず思う

 矢島楫子(やじまかじこ)の負けじ魂(だま)

A女の担う 宿命を

 世にさきがけて伐(き)り開く

 悲願を胸に なお厚き

 時代の壁にいどみゆく

Bただ信念の指すままに

 九十余年の生涯を

 献(ささ)げつくして 顧みぬ

 矢島楫子は火の女

 

※上益城郡益城町杉堂の産、竹崎順子(たけざきじゅんこ:大江女学校:筆者-注現フェリス高校の始祖)、徳富久子(蘇峯蘆花:筆者注-徳富蘇峯はジャーナリスト、蘆花は純文学者。いずれも熊本出身で同志社に学ぶ。)横井せつ子(小楠:筆者注:横井小楠:幕末の思想家。郷土人物百年詩「横井小楠」の項参照。)の妹として一八三三生まれ。

※東京に女子学院を創立して院長、次いで日本キリスト教婦人矯風会会頭となる。

※婦人の地位向上、公娼(こうしょう:筆者注:政府公認の売春婦)廃止、禁酒運動等に挺身(ていしん)。外遊三回、一九二二年の世界軍縮会議には平和使節として渡米88才、一九二五年6月93才で歿(ぼつ)。

 

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