郷土人物百年詩−横井小楠−

@文字に泥(なず)む藩学の

 流れに独り抗(あらが)いて

 固陋(ころう)の輩に挑みゆく

 小楠(しょうなん)横井平四郎

A富強の国に止まらず

 四海に大義布(し)くべしと

 地平の雲に眼を放つ

 小楠横井平四郎

B狂刃(きょうじん)すさぶ京洛(きょうらく)に

 維新の行く手憂(うれ)えつつ

 波瀾(はらん)の一生(ひとよ)閉ざしたる

 ああ小楠横井平四郎

 

※文化六年(一八○九)沼山津(ぬまやまづ)に生まる。藩黌(はんこう)時習館(じしゅうかん)に学んだが朱子学に慊(あきた)らず陽明学に傾倒、実学を唱えて学校党と対立し、多くの後進を育てた。

※開国論を首唱して東西文明の調和を理想とし、幕末には松平春嶽(まつだいらしゅんがく)に重用され、維新後は新政府の参与に挙げられた。

※その主張は当時の鎖国攘夷(じょうい)の徒に敵視され、明治二年(一八六九)一月五日宮中より退下の途中京都の寺町通りで刺客の凶刃に斃る。年六十一。

 

山口白陽の詩に戻る

山口白陽文学館受付に戻る